copywriter-住職’s blog

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生命の芝居

 

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生命の芝居は生き延びさせるためにある

多田富雄さんは、

システムを超えている生命の技法とは何かを追求されている生物学者です。
生命は生存するためのシステムで、生命現象には死に関わるものがないと
常識的にはおもいますよね。
しかし多田先生は死の生物学という概念を
大変な興味を持って生命の生存の重要なシステムとして探求しています。
生命にとって死は敗北を意味しています。
医学では人間は死なない存在であるというのは
理解できます。
ただ無邪気に生存を選択し、細胞分裂して
栄養のあるところを好み、
生命全体は快楽主義者であるかのように
僕たちはどこか楽観的に考えています。
でも、そんな素人の生命観は
実際に細胞内で起こっていることとは真逆だそうです。
病理学では、どんな外部的な、本来的ではない作用で
細胞が機能しなくなるかとか、死んでいくかとか、
受動的にもたらされる死
生きるはずだった細胞が死ぬという問題を扱ってきましたが
実際の生命の成り立ちとは役目を終えた細胞がいかに死を選んでいくか
その積み重ねのシステムなのだそうです。
動物がその形を作り出す過程には造物主である遺伝子DNAにばらばらに書き込まれている情報を
次々に引き出しながら、自分で自分を作り出すプロセスが含まれているそうです。
まだ何ものでもない細胞が情報を福利ダスト、周辺の細胞はそsれをキャッチして
それを何者かに変える。
さらに他の細胞と情報を交換しながら、次々に必要な遺伝子を発現させ、
組織化してゆくプロセスである。
それこそ受精卵という何者でもないものから、
個体という存在が作り出される過程なのである。
最初からブループリントがあって、
その設計図に従ってまったくの無駄がなく組織されていく
生成されていくのが生命だという認識でいる僕たちの遺伝子観は
偶然の原因が結果を作り、その結果が原因となって修正していく
という事件が系統的に積み重なって、何者でもない受精卵から
すべての態勢と個別性を備えた個体が作り出されるから
私は私の形をしているのだそうです。
細胞間の段階的な情報交換の結果、
なんとかうまく生成することができた危うい存在であるといいます。

動物の個体は、自己と非自己を識別して
自己の全一性を守る機構が
免疫系の発生であり、そのために生命が常に選択しているのが死
アポトーシスと呼ばれる死の選択だといいます。

僕たちが赤ちゃんとして胎児の状態でいる時
例えば手どうやってできるかを見ていると、
はじめは丸いミットのような形をした組織の中に指の骨が形成されてきます。
やがて指の骨の間の細胞が死んでいき、五本の指が作り出されるというプロセスをとります。
まるで彫刻家が大理石から手を掘り出したとしか言えないような操作が起こっているそうですが
その発生の過程は遺伝的なプログラムによって決定されているのと同時に
そのプログラムが引き出される誘導因子によって
生命は維持されていくそうです。
発生のプログラムの中には
特定の細胞を死なせるというスケジュールがすでに書き込まれており、
もし、この死のスケジュールが発動しなければ、人間の指はくっついたままになるか
水かきでつながってしまい、発生そのものが狂ってしまう
正常な個体とならないという事態になるそうです


そして脳神経系と呼ばれる高度に進化した生命システムでも、細胞死が中心的な役割を果たしているそうです、
ニューロンと呼ばれる神経細胞が突起を伸ばしてつながりあい
精緻な回路網を形成することによって成り立っています。
この回路にはいかなる過ちも許されないそうです。
ニューロンは神経繊維という突起をのばして お互いにつながりあい情報を伝達するための連結構造シナプスを形成します。
神経繊維の末端は、筋肉とか皮膚とか、消化管につながりそこからの刺激を脳に伝える役割を果たしています。

この精妙な神経回路は設計図があらかじめ決まっていないそうです

脳神経系が形成される時には一般的にニューロンはやがて必要とされる以上に過剰に作り出されて、
それが神経繊維を伸ばしながらシナプスを形成するそうですがその神経線維の末端が目的とする細胞、たとえば筋肉に結合するまで神経線維はしばしば手探りのようにあちらこちらの細胞に触れながら伸びていきます。
そして目的とする筋肉の特定の位置を見つけ出すと、そこへの結合が完成されてニューロンの伸長は止まります
もし神経細胞が結合すべき相手のニューロンや筋肉に正確に到達できなかった場合はその神経細胞は死んでしまうそうです、
余分な細胞の多くは、さまざまな試行錯誤ののち、間違って結合したものや重複したものは殺されてしまうようです。
成功した細胞だけが生き残るのはなぜかというと、
結合した相手の細胞から、神経成長因子
というサイトカインが与えられるからだそうです
この因子は一種の栄養因子として働いて、ニューロンの生存を助けるそうです。

人体は積極的に死を選ぶ細胞の活躍によって維持されている
と聞くと、個体の生命現象とはとても高次の生命活動と呼ばれるものによって
成立していることに驚きます。
個体の死もまた、より高次の何らかのスーパーシステムの成立のために、
もともとプログラミングされているのかもしれない
様々な文化現象の成立と崩壊を考える意味でも
人体というミクロコスモスの持っている意味には
もっと複雑なものがあるのかもしれません。

仙人さん最後のビジネスモデル

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