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ポール・アーデンという本物の異端者

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ポール・アーデンという本物の異端者
 
クリエイティブになるために
クリエイティブである必要はない
僕たちの想像するクリエイティブは
すでにクリエイティブではないのかも知れません
 
これは、見たことのないモンスターを書いて見てください
という心理実験でも知られていることですね
 
絵を描くのが下手と言われている人は
見えた通りに描こうとしています
 
でも、見えたとおりのものと
実際に描いているものが
全然違うのです
 
絵を描くのが上手な人は
見えた通りのものを
そうそう簡単に描けないと知っている人です
 
常識的な人間は、世界に自分を合わせようとする。
非常識な人間は、世界を自分に合わせようとする。
だから人類の進化はすべて、非常識な人間の力にかかっている
 
ポール・アーデンさんは広告業の巨匠と言われています
NIVEATOYOTABritish Airways,Fuji,Anchorをはじめとする大企業のキャッチコピーから
広告全般を指揮していました
 
企業に代わってコンセプトを開発して
そのアイデアを具現化するまでの全責務を担います
各分野の専門スタッフを指揮する立場の人物のことを
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターと言いますね
 
完璧主義者であったアーデンさんは
これだと思ったアイデアが出るまで全てにNOと言い続けた人として
グラハム・フィンクさんやアレキサンドラ・テイラーさん
現代一流のアートディレクターの師匠として
恐れられてきた反面
全てのクリエイターを勇気付ける自己啓発書も
手がけています
 
PLAY JOBや
IT’S NOT HOW GOOD YOU WARE,
IT’S HOW GOOD YOU MADE US WANT TO BE
 
などのタイトルです
このタイトルセンスを日本語にしてしまうと
 
なんか大部分が死んでしまいます
 
一発ギャグを説明する人になってしまいます
 

大事なのは今のあなたじゃない。この先、どのくらい上を目指そうと思っているかだ

 
と言われても、ぴんと来ないですね
単なる上昇志向の人みたいです
 
IT’S NOT HOW GOOD YOU WARE,
IT’S HOW GOOD YOU MADE US WANT TO BE
 
これは前半のGOODと後半のGODDが好対照です
前のGOODの方では、優秀な、とかお行儀の良い見事なといった意味合いが強いですが
あとのGOODでは、適任であるかとか、望ましいと言う意味合いが出てきますね
 
 
僕たちは世界に意味を付与する主体ではなく、
「この世界」を存在させている世界の実質そのもの
という置き換えは何かを思い起こさせます
 
シモン・カーベリーさんはこう言います
Not that Paul would ever have described himself or his beliefs in such a wordy way. 
 
彼がいつもしどろもどろだったのは、物事に対して容赦ない言語追求をする彼の天才的な着想の裏返しでした
 
He looked at the same things, yet saw something different
 
グラハム・フィンクさんはポールアーデンさんを追悼して
同じものを見ていても、違うものを見ている人と言いました
 
言葉の間に、ちょっと違いを滑り込ませることで
深みを味わわせる配列と
 
その配列の入れ替えで世界の構造は崩壊する
言語の限界の設定が世界の限界になっていると示したのは
 
 
アーデンさんと広告の関係は
論理形式と写像の関係に似ています
思考された世界が現実の世界とどれだけ異なっていようと、明らかに、その思考された世界は現実の世界と何らかのもの、すなわち形式を共有していなければならない。
事態を或る一つのモデルとして写し取ることはできても
写し取られた或るモデルは事態そのものではないんですね
 
ただそこにあるのは
表現された像と、その像を読み取る僕らとの
何らかの共有なのです
 
元の文章を見て伝わってくる感性を味わって見て
広告業界のアートとキャッチコピーとは
僕たちに対して世界を論述するための形式を読み取らせるものです
その一瞬の表れを
クリエイティブと言っているかのようです
 
そんな注意深さを
見た人に思い出させるテクニックが
アーデンさんの独特の手法のように感じます
 
 
直感的なセンスを感じるコピーは
日本語に訳するよりも
英語のままで光っているように思います
単語のパワーを工夫しているところが
多くのクリエイターに評価されていると思います
 
見慣れたものにハッとする
 
みたいな企画を感じた時、
僕たちは皆クリエイターなのです
 
「理にかなっていることは間違いだ
 
理にかなっているということは、
知識や経験に基づいていて
多くの場合正当性が説明できる
 
知識は過去から得られるものだから、安全だ
時代遅れでもある
オリジナリティーとは正反対だ
 
経験は、過去の状況や問題を解決しながら
築き上げたものだ
現在の状況は過去の状況とは違うから
過去の解決策を使って新しい問題に立ち向かうには
解決策を現場に合うように
形を変えなければならないだろう
時には悪い方に変える必要も出てくるだろう
 
しかも経験があると自然とそれを使おうとする
だが、それは怠慢というものだ
経験は創造性の対極にある
自分が正しいということをうまく説明できるとしたら
それはがんじがらめになっている証拠だ
時代とともに
そして人々とともに歩めなくなってしまっている
 
理にかなっていることは、退屈でもある
心が閉じていて
新しいアイデアに向かって開かれていないのだから
自分勝手な正しさにしがみつくのは
図々しいことだ
図々しさは役に立つ道具でもあるが
ごく控えめに使ってこそ価値がある
最悪なのは
理にかなっていると
道徳的な雰囲気が漂ってしまうことだ
理にかなっていない状況は弱く
何か間違った感じを与える
だから理にかなっている人たちは
間違っていると思われるのが嫌なのだ
結論
 
理にかなっている状態は
間違っている状態にあるということ
理にかなっている人たちは
過去にしがみ付いていて
頑なで
退屈で
独りよがりな人たちだ
 
彼らには何を言ってもしょうがない
 
今日もお読みいただきありがとうございます