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サッカーに見る国際政治

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サッカーに見る国際政治入門
 
今日はブックレビューです
 
弱小国のくせに強国相手に無駄に騎士道精神を発揮するな
 
というニコロ・マキャベリさんの言葉があります
 
先日サッカーW杯で日本が対ポーランド戦、
2次予選進出のために安全策として採択したパス回し戦術
ありましたね
 
監督も不本意ながらと言っていましたが、
パス回しを10分ほど続ける指示を出したと
 
戦術について国内外から批判があるとか聞いています。
 
色々と皆さん考えがおありでしょうけれども、
 
同じものを見聞きしても、評価が別れてくるのは面白いと思いませんか?
 
よくまあ、色々な意見で盛り上がるなと思います。
とりわけ、自分と反対の意見を持っている人に対しては、
頑なだなと感じる方も多いでしょう。
 
腹のなかに住まわせている
その人の政治的見識というものが、出てくるんですね。
 
とりわけ、国際政治に関心のある方であれば
日本が置かれた弱小という立場と言葉に反応して
結果を出したという点と
戦術として評価できる
という評価を下している様に見えます。
 
二つの言葉でこれからの世界の変化と国際政治関係を
シンプルに捉えている本を紹介します。
 
「新しい中世」
 
 
という概念で
適切に将来を見通す人は
どの様に世界を見ているか
その秘密を教えます
 
一つ目の言葉は相互依存です
 
まず2つの関係性を見ています
 
1、国家間の関係
2、国家と非国家主体・ネットワークの関係
 
世界システム内の構成要素が単に相互依存的であるというだけではなくて
 
世界システム内のどの構成要素とどの構成要素が
どの様な問題領域において
どの様なパターンの相互依存関係を
どれだけ密接に持っているか
 
さえ理解すれば
 
いかなる面で
いかなる変化が起きているか
変化を起こす要因としてはいかなるものがあるかを検討することができます
経済でも軍事でも、適切な対策を考えられる人はそこを見ています。
 
軍事力をめぐる関係理論は
ケネス・ウォルツさん、ロバート・コヘインさん、ジョセフ・ナイさん
らが何十年にもわたって議論しました。
 
では、相互依存のどこに着目していると
経済が見える様になるか
それは、敏感性と脆弱性に着目します
 
相互依存的関係にあって、
敏感性とは影響されやすさです。
例えば、ニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価が下落したとしたら
東京市場日経平均も直ちに下落したとします。
その場合、東京株式市場のニューヨーク株式市場に対する依存の敏感性は高い
という言い方をします
 
脆弱性とはその様な影響されやすさによって生じた
数値の変動が起こした変化によって
影響されたその主体が
自律的に許容範囲まで立ち直れるかどうかを表します。
 
国家間の戦争も、経済も
この相互依存の敏感性と脆弱性でデーターを整理し直します。
 
国家と非国家主体
それから
非国家主体間の相互依存では
情報、通信、価値で相互依存が進みました
 
それが国家と非国家主体による相互依存関係よりも
より深く国家の相互依存を決定づけている点こそが
 
近代国家成立以前の中世に見られた状態によって
より説明がしやすい
情報、通信、価値の流動性と活発化とみるのです。
 
コミュニケーション1、0から3、0へ
という言い方もされてきました
国家から企業、個人のコミュニケーションですね

 

例えていうなら、
中世という言葉は

自由主義的民主制と
市場主義経済という
絶対的価値観に

再び押し込められた主体による
相互関係性を築く在り方です

そして、その押し込められた内部で
再び主導権を争うゲームです

それが今の国際政治です

 
 
相互依存という視点で
これからの軍事的緊張や経済的緊張を見ていくと
価値観はだいぶん変わってくることになります
 
例えば平和とか正義、戦争の意義が
相互依存的に決定することも意味します。
 
ジャック・ルソーさんは、
相互依存についてこういっています
 
ヨーロッパ諸民族が歴史的に結合してきたことによって
彼らの権利や利害はとてつもなく複雑に入り組んでしまった
諸民族はあまりに多くの点で互いに接触しているので
ある民族の本の少しの動きですら、他の全てに影響を与えるのである
彼らの間のつながりがあまりに密接であるため、
彼らの間の相違は、それだけ、致命的なものになるし
頻繁に起こる紛争は、内戦と同様に残虐なものとなるのだ
 
ルソーさんは民族という概念すら相互依存的になるとは
思っていなかった様なのですが、
彼の指摘の通り、相互依存は経済的均衡を平和的に主導するのと同程度に
戦争の主要な理由にもなります。
 
平和と戦争がどんどん近づく
 
市場では、日々新しい相互依存の形が
制度化されるくらいに常識化していきます。
 
そして、その相互依存の多様性の制度化を
自らの脆弱性として受け入れたくない感情
その温度差が
世界の国際社会では主要な3つの態度として現れてきます
 
2つ目の言葉
3つの圏域です
東西冷戦時には、
西側先進国を第一世界
東側共産主義諸国を第二世界
その他が第三世界と呼ばれました
 
だいたいその他というのは発展途上国でした。
 
でも、現実に合わなくなってきましたね
人口の数で言っても
国土面積で言っても
資源保有で言っても
 
逆説的ですが、第三世界
バイタリティーを十把一絡げには出来なくなってきたのが
冷戦終結に勝利した自由主義的民主制・市場経済というイデオロギー
によってもたらされた帰結であるとするならば、
 
このイデオロギー内部で世界を再編し直す見方が提案できると思います。
 
国内政治体制の自由主義的民主制の成熟度と安定度を横軸にとり
国家経済体制としての市場経済の成熟度と安定どを縦軸にとった場合
 
双方が高いスコアを持つ新しい相互依存的空間
つまり新しい中世の第一圏域
 
政治体制の成熟度と市場経済の成熟度の双方が
アンバランス、もしくは発展途上な
近代国家という第二圏域
 
そして自由主義的民主制と市場主義経済によって
国家の体をなさなくなる、混乱領域
第三圏域
 
に分類されます。
 
もう一度整理しますと
相互依存によって
様々な領域で自由度の競争が起こっている今
 
過去の問題は問題ではなくなって来ていると言えます
そして
過去では問題ではなかったことが問題になって来ています
 
 
日本人はすでに「新しい中世」的特徴を色国持った第一圏域に分類されます
 
しかし、日本周辺には、「近代」の特徴を以前としてギラギラさせた
「第二圏域」の諸国が存在します
 
日本人は「新しい中世」にいながら、「近代」と対決していかなければならない。
私たちは「近代」的国際政治を単に古いと言って済ますわけにはいきません
 
そして、第三圏域も無視や隔離はできません
 
 
 
日本では、国際政治に関する「近代」的な理解が今だに不十分では
色々な意味で命取りです
 
サッカーのワールドカップの場でも
何に備えるべきかが
実はそこに提示されているのです
 
 
今日もお読みいただき有難うございます