アナリストとは
今日はブックレビューの日です
今日ご紹介するのは、フェルドマン式知的生産術です
ロバート・アラン・フェルドマンさんは
モルガン・スタンレー・MUFG証券で経済調査部長をしている人です。
そして同時にマネージングディレクターとして管理業務に携わっている人です。
アナリストの目で経済学を語ることのできる、とても興味深い話です。
情報過多の時代、混沌としている情報の中から意味を引き出すことが
アナリストの仕事である
と彼は言います。
欧米社会で認められる専門家とは
情報をたくさん持っている人ではなく、
情報と情報との関係をつくることができる人だと指摘します。
説明を受ける顧客も、アナリストも同じ情報を持っている今
何か秘密があるのか、特別な情報を独占しているのか
多くの人はそこばかり見ています。
情報それ自体の価値です
しかし、実際にアナリストの存在価値とは
単なる情報を提供する人ではなく
情報から導き出した結論で勝負する人
なのです。
木をみる西洋人、森をみる東洋人の例があるように、
分析にもスタイルがあります。
物語と事実を強調するジャーナリズム
数字と事実を強調するテクニカル分析
数字とモデルを強調する計量分析
物語とモデルを強調する理論
これら4つのスタイルを、8つの章
分析力、プレゼン力、人間力、数字力、時間・エネルギー管理力、言語力、商売力、結合力から説明する
とても合理的で緻密な構成になっています。
一見面倒な数字やグラフ、理論が羅列された本なのかなって思いますよね。
でもこの本は映画や歴史、現代政治、具体的なストーリーなどで構成された、経済分析の初心者でもわかりやすいたとえ話が中心に進められていくのです。
例えば、数字力の項では数学の話がでるのかな?と思いますよね。
実際、経済学の本は、数式でいっぱいです。
でも、フェルドマンさんは数学の話はしません。
「私は学生時代に経済学の先生から
数学はトイレと同じだ
と言われたことがあります
人間である限りトイレは使わないわけにはいかないが、
人前でトイレのことを話さない
数学も同じだ、人前では話さない
つまり数学は、たとえそれを使って分析していても
あまり露骨に示すべきではなく、
他の人が簡単に理解できるように工夫して
品良く話す必要があります
その意味ではアナリストに必要とされているのは
数学力というより、うまく数字を使いこなす数字力というべきでしょう」
実践に役立つ数字の使いから、決定木や、ドント式、生産性の表し方、
弾性値という数値でインフレ状況での利回り反応度を表すなど、
数式の必要性やありがたさがわかるように説明してある点は、
アナリストとして見事です。
信頼の方程式というのがあるそうです。
T=(E+R+I)/S
TはTrust信頼
EはExpertise専門性ですね
RはReliability約束を守ること
IはIntimacy親密性
SはSelf-Orientation自分の都合
アナリストの分析力、数字力を磨いてみたら面白そうですね
今日もお読みいただきありがとうございます