ビジネスとシャイロック

ビジネス上の有名人のレビュー

シェークスピア劇における、ヴェニスの商人の登場人物、シャイロックを考えてみたいと思います。
ビジネスとは何かという問題を考えたときに、人間の生き方を価値で置き換える思考法と言えます。

 

音声はこちらから↓

 

ご存知の物語とは思いますが、概要を説明します。
シャイロックは、マーケットの親分の一人であるアントニオに対して3000ダカットの資金を貸し付けます。
交易業を営むアントニオは、親友であるバッサニオの結婚支度金に必要な額に対して現金が急に用意できませんでした。
事業運転資金に全てをつぎ込んでいたからです。
そこで、アントニオは、バッサニオの懇願のままに、自分のマーケットでの信用を担保に借り入れします。現代のお金にして1億円くらいだそうです。
シャイロックはそもそもアントニオを憎んでおり、これをいい機会にアントニオを失脚させたいと考えます。f:id:copywriter-jyuusyoku:20170512084231j:plain
そこで、3000ダカットという貸付金に対して利子を取らない代わりに、もし、3ヶ月という期限以内の返済が不可能な場合は、アントニオの肉を1ポンドもらうという証文を作ります。

不運にも3ヶ月の間にアントニオは船に積んでいた交易品を相次いで失い、約束の期限に3000ダカットを支払う能力が無くなりました。
しかし、バッサニオが射止めたポーシャは資産家の娘であり、夫の親友の命を救うためにはその借り入れ額の20倍であっても支払うのが夫に対する自らの愛情の曇りなさであると言って、気丈にもこの混沌とした難事件に勇躍することになります。
シャイロックは、お金を受け取りません。
あくまでも、証文通りにアントニオの肉をもらいたいと主張し、証文を振りかざして裁判を起こします。
そこでポーシャは裁判官を装い、巧みな弁舌で法廷と聴衆を味方につけ、
あくまで証文の約束履行を主張するシャイロック人間性や慈悲心の欠如を印象付けて、
「肉を切り取るのは証文どおりだが、そこに血液は含むとは書いていない、切り取るときに一滴たりとも血を流してはならない」
殺人罪へと発展させます。
ポーシャの弁舌はシャイロック以外のすべてを納得させ、名裁判としてアントニオ側の勝利でこの劇は終わります。

ユダヤ人であるシャイロックキリスト教徒であるアントニオ陣営との戦いとして、このヴェニスの商人は多くの文学者や宗教家らの知識人によって様々な論評がなされています。

ここでは、差別問題には接触しません。

そうではなくて価値という視点から「ヴェニスの商人」を再考したいと考えています。
今日どれだけの人が、お金で意思を失うでしょうか

寺山修司はこう言っています

私にはシェークスピア劇中のユダヤ人が、「心を持たない人間」と扱われることが、
「心もまた富や権力と同じ様に、物質なのだから大切にしてくれ」と言っている被差別者の肉声として聞き取れる。
シャイロックが、貸した金の代償として一塊の人肉を抵当としたことは、「心もまた、肉の一部である」という寓意をはらんでいるように見えるからである


なぜシャイロックは、アントニオに貸した額の2倍以上の額を返すと言われても、拒否し続けたのでしょうか?

もし彼が守銭奴ならば、受け取っていますよね。
あくまでも証文どおりに、アントニオの心臓に近いところの肉を欲したシャイロック
彼は社会倫理が、どれほどユダヤ人同胞に対して屈辱滴な仕打ちをしたか、その異議申し立てをしました。

自尊心と正義を守るという意味では、シャイロックもポーシャも同じです。
しかし、慈悲心という言葉を持ち出すと、そこに金銭は優先力を失います

それが司法裁判というマーケットに於いては、法の正義という価値根拠がそれを成り立たせているからです。


気持ちの問題なんだから、融通が利くでしょう?という論法
気持ちの問題なんだから、お金じゃないでしょう?という甘え
どれだけの人が、お金への恐怖や憧れのために人生の価値と意思を失うでしょうか

そして、いくらでも増刷されるお金で判断を曇らされた人間が、損得だけで価値を選択し、

 

もっとも貴重な意思の力を失っているでしょうか?

お金とは、価値によって価値付けられるもの

これがそもそもの経済学です。

18世紀までは、富と権力とは、目に見えるものでした
しかし、富も権力も非物質化した時代を生きる私たちにとって、「非物質は心だけ」といった論法は通用しないのです
だからこそ、心の問題で命は失われ、文化の喪失で社会は運営困難に陥ります
心の問題は非物質化した価値であると時代錯誤を繰り返すからこそ、
逆に心の問題はどうとでもなる、優先度の低い問題として扱われ
金銭の問題は優先度が高いという価値観は、デフレが進行していく社会が見せる幻想です。

銀行が企業となっている時代のビジネスとは、金銭は価値ではないのです。
信念に基づいたビジョンとスキルこそが本当の価値です。

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 ビジネスとは、お金に塗れている心の問題では無く、お金に価値を与えている人間の心と向き合うことです。

今日もお読みいただき有難うございます。